読んでみた数学の本
多様体入門
著: 松島 与三 (数学選書 (5)) (出版社: 裳華房)
多様体に関して、一番よく読んだ本. 繊細で厳密な多様体論の記述法はこれから学ぶものが多かった. いわずもがな入門書ではない. 位相群の勉強にはよい.
Introduction to homotopy theory
(著: P. Selick ), Fields Institute Monographs 9, American Mathematical Society (1997).
学部3回生の演習で, 輪読した本. ホモトピー論に必要な議論が手短に書かれている.
簡単なスペクトル系列と, ちょっとしたホモトピー群は計算できるようになった,
後に論文[1][5]で役立ちました.
複素超曲面の特異点
著: ミルナー (訳:佐伯 修, 佐久間 一浩 , 出版社: シュプリンガー数学クラシックス)
同僚と自主ゼミで読んだ. 代数トポロジーよりの本. 曲線選択補題の練習には良い.
リー代数と量子群
著: 谷崎 俊之 (出版社: 共立叢書) 現代数学の潮流
3回生の夏休みに, 同僚3人で読破した良書. ゼミ室確保の為に朝夕走ってゼミをしたのを想い起す.
このブルバギ的記述が私は好みであり, また表現論入門としてシックリきた.
指数定理 1,2
著: 古田幹雄 岩波講座現代数学の展開 (出版社: 岩波書店)
学部4回生に読んだ本, この書で数学的センスが磨かれました.
指数の局所化, 位相的K群の定義や, 物理的なアイディアを使った証明など気に入っております.
12章以降では具体的応用が多く勉強になりました. のちに, 論文[4]の作成時に役立ちました.
リー群と表現論
著: 小林 俊行, 大島 利雄 (出版社: 岩波書店)
Peter-Wyleの定理の章や400頁以降を、解析系の友人らと輪読.
全体的に丁寧な解説で, 自分の興味と動機に合わせ読める良書と思います.
Borel-Weil理論が判り易い.
An Introduction to Knot Theory (GTM)
著: W.B.Raymond Lickorish, (出版社: Springer)
M0の時に個人的に読破を前提にされたので, とりあえず読んだ.
なので飛ばし読みが多いのだが, 何処に何が記されているかは頭に叩き込んだ.
意外かな, 私の研究で一番役立った本で, おかげで襤褸襤褸になった.
接続の微分幾何とゲージ理論
著: 小林昭七 (出版社: 裳華房)
数理物理の同僚と輪読した本. 途中計算が誤りだが, 答は正しいという面妖な箇所が幾つか或る.
この本でYang-Mills理論や解析を解った積りになってはいけないが, 私の知識はここでストップしている.
代数幾何学1,2
著: R. ハーツホーン 翻訳: 高橋 宣能, 松下 大介 (出版社: シュプリンガーフェアラーク東京)
とりあえず、2,3章を後輩と(粗く)輪読しました. スキーム論を会得したと云えませんが, 考え方はわかりました. この御蔭で, 読める論文の幅が広がったように思います.
Quantum Invariants: A Study of Knots, 3-Manifolds, and Their Sets
著: Tomotada Ohtsuki (出版社: World Scientific Publishing Co., Inc., River Edge, NJ,)
修士一年で読むことになっている本. すっきり書かれており,
量子不変量を短期間で学べる.
Rational Homotopy Theory and Differential Forms
著: Griffiths and Morgan (出版社: Birkhauser)
後輩と輪読した. 最後の節の応用が面白い, そこまで辿り着くのが大変.
この本は怪しい議論が細やかに散在するので注意がいる.
今やモデル圏的な見地から解釈しながら読むのが良いのだろう.
Cohomology of groups
著: K. S. Brown (出版社:Springer-Verlag Berlin and Heidelberg (1982))
当書で群コホモロジーを勉強したが, 有限群しか関心なく約百頁で挫折. それでも
研究に役立った. が群コホモロジー論は専門家に教えを請う方がよく勉強になる.
素数と結び目
著: 森下 昌紀 (出版社: シュプリンガーフェアラーク東京)
数論とトポロジストの約8人で5泊6日の合宿で輪読・議論をしてみました。
最初の章の準備は難しい印象を受けるが、可換類体論の整理には良い辞書と気づく。
一般コホモロジー
著: 河野明・玉木大 岩波講座現代数学の展開(出版社: 岩波書店)
博士一回生頃よんだ本. 凝縮された文体に一癖あるが, 私の研究の指標・構想に非常に役立ちました.
Algebraic K-theory (2-nd ed.)
著: V. Srinivas (出版社: Modern Birkhauser Classics)
第6回琵琶湖若手数学者勉強会
で輪読した. Introから4章迄の記述が切れ味よく爽快である. が後はお話で読むのがよいだろう.
むしろ現代的見地にあるWeibelの本「K-book」を読むと全体像が解った (
Waldhausen圏, モチビックコホモロジー, 数論などと話題が豊富.)
An introduction to homological algebra
著: C. Weibel (Cambridge
Unisersity Press, 1994)
16年の夏に読みました。綺麗にまとまってて辞書がわりに使っています。